CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートです。是非ご覧ください。

いまひとつ調子に乗れない

いまひとつ調子に乗れないで終わった白馬全日本選手権の2試合から、ひとつ気を取り直して挑む小林諭果(CHINTAI)、得意とする札幌大倉山ラージヒルの2連戦だった。

「信頼している札幌市内のコンディさんで、吉泉トレーナーにしっかりと身体を見てもらいました。やはりボディにずれがあることが分かり、それを修正して頂いてようやく本来のジャンプができたとように思います」

それもそのはず、長期海外遠征から帰国してすぐに秋田県鹿角市へと移動、ノーマルヒルで完全勝利を収めた。そこから長野県白馬村への長距離移動と、これまでの遠征疲れもあって疲労はピークを迎え、身体の各所が痛み出して心が休まらずにいた。

いっときの癒しは白馬の宿舎にいる可愛らしい飼い犬であったが、肝心のジャンプの調子はといえば思うような波に乗れなく、しっくりとこない自分がいた。

そこで結果が出せず、傷心ながらの札幌入りだった。

「ようやく大倉山で良いトレーニングジャンプができました。それと兄弟4人で久しぶりの美味しい食事で、あれこれと話しながら。ようやく本来の自分を取り戻せた感じです」

たとえどんな風がこようと、下からの吹き上げる風がなくても、つねに思い切り飛べばいい。

2試合連続の3位表彰台

そんなポジティブな心境からサッツが決まり空中で柔らかく風に乗り、下はあまり良い風ではなかったが飛距離を伸ばして、しかもテレマークを決めて2試合連続の3位表彰台。

秋空の大倉山を舞う小林選手

いくらかほっとした気分になりながらも、冬を見据えて気を引き締めた。

「次の12月の名寄ピヤシリ開幕戦に合わせて、およそひと月。ここまでやれなかった筋力トレーニングやコンディショントレーニングに時間をかけて、ていねいに施し、ボディバランスなどを仕上げながら、雪上へと向かいます」

この先はマシントレーニングにランニングと体幹トレーニングを繰り返して、冬のパワーボディを作り上げていくタフな毎日となる。

 めざすは攻めのジャンプ! たとえ風が荒れようとも、絶対に受け身にはならない攻め込むジャンプで、とことん飛距離を伸ばしていきたい。

その上でW杯代表入りを果たすべく、メンバー入れ替えもある来年1月の女子W杯札幌大会と蔵王大会へフルアタックする。

「空中における苦しさが続いているのでその修正をして、そこからさらに良い風を受けて飛距離をどんどん伸ばしていきたく思います」

いよいよ日本の慣れ親しんだ雪が降ってくる。

国内大会での圧倒した勝利そして迎える1月、W杯女子ジャンプ国内個人戦4試合である。

たぐいまれなる試合の駆け引きと経験の豊富さで表彰台へ突き進む、その笑顔と気迫は健在だ。

UHB杯の表彰式

文・写真/岩瀬孝文

大会結果

2022年10月29日(土) 

第35回UHB杯ジャンプ大会 3位

2022年10月30日(日)

第64回NHK杯ジャンプ大会 3位