こんにちは!CHINTAIスキークラブスタッフです。

今回は、スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏による「 第49回HTBカップスキージャンプ競技大会/第61回STVカップスキージャンプ競技大会 」のレポートをお届けします。

突風にも負けず

強烈な低気圧に見舞われた北海道。その影響で暴風雪を呼び、大会前日の公式練習は中止となった。

迎えた大会当日の土曜日、まだいくらか風が残る状態で始まったHTB杯だった。

1本目、優勝候補の筆頭に挙げられる茂野美咲と小林諭果は終盤の16・17番目のスタートだった。二人の直前に有力な高校生が130mを超えた大ジャンプをして飛び過ぎとされ、おもむろにゲートが下げられた。

ところが、先に飛んだ茂野は中盤で横風にあおられ84.5mにドスンと落とされた。続くラストジャンパーの小林も、踏み切り後スピードに乗ろうとする部分で横からの突風に吹かれて「きゃあ」という叫び声をあげて84mに着地。なんということだ。

だが、ここからがふたりの真骨頂。

「久しぶりの2本目1番スタートですが、原点に帰って思い切り飛びますよ」と、すぐに切り替え2本目に向かった茂野は、心おおらかに空中に出て106mを記録して12位まで上昇。

連勝を目指していた小林は「とことん、しっかり飛ぼうと。ただそれだけですね。着地も焦ることなくテレマークを入れました」落ち着いて挑んだ2本目は126.5m。7人抜きを果たし見事3位表彰台へと昇った。

これが本来の力ではあるが、自然を相手にしている競技である以上は仕方がない。1本目は不運な突風であったが、一歩間違えれば大怪我に繋がるところを経験と技術力で回避した二人。国内女子選手を牽引する存在として、結果以外の部分でも若手選手にその背中をしっかりと見せることができたであろう。

茂野 突風に煽られながらも経験と技術で飛び抜いた
小林 2本目は涙を拭いてガッツポーズで決めた

1月15日「 第49回HTBカップスキージャンプ競技大会 」

茂野  12位 1本目 84.5m 2本目 106.0m

小林    3位 1本目 84.0m 2本目 126.5m

待望のワンツーフィニッシュ

一転して翌日曜日は晴天やや曇りで凪の風。STV杯は穏やかに始まった。

適度にスタートゲートが下げられていれば120m前後の飛距離が勝負の決め手になる。

「助走路の滑りで緊張することなく柔らかくスキーに乗っていき 120mと119m。そんなに大きなジャンプができませんでしたが、2本まとめられました。この先もふたりでいまの国内大会を盛り上げていきたいです」

持ち前の安定した助走路、前へと速やかに出る踏み切り、スムーズな空中姿勢と、今日は流れるような自然体で飛距離を伸ばしていって、圧巻の優勝を飾った小林。

空中における飛行技術は特に上手いと言われる小林ファミリーである。得意な大倉山では、その良い特徴が発揮されていた

昨日の試合の悔しさをバネにした茂野もスタートからの一連の動作を意識してしっかりと飛んだが、下からの吹き上げの風が少なく最長115.5m。

「ようやくの2位表彰台です。しかもCHINTAIで取ったワンツーでした。優勝したかったですが、まずは2位を素直に喜びたいと思います」

今日のジャンプに手応えを感じ、さらに飛距離を伸ばしていくにはどうすればいいのかと頭を巡らせ、はしゃぐことは封印。いつもより落ち着いた眼差しで表彰台へと昇った。

見事なワンツーフィニッシュ。新しいチームウエアに身を包んだふたりが、颯爽と名門大倉山シャンツェの表彰台に勇み並んだ。

(左から)茂野・小林 8月のチャレンジカップ以来のワンツー!

1月16日「 第61回STVカップスキージャンプ競技大会 」

茂野  2位 1本目 114.5m 2本目 115.5m

小林  1位 1本目 120.0m 2本目 119.0m

文・写真/©岩瀬孝文

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最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は「 第33回TVh杯ジャンプ大会」の模様をお送りする予定です。お楽しみに!