こんにちは。CHINTAIスキークラブ・スタッフです。

今回は、スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏による「 第100回全日本スキー選手権大会 」のレポートをお届けします。

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得意のラージヒルで勝ち取った表彰台

伝統あふれる全日本スキー選手権は、今シーズンで100回を迎えた。この大会はサマーグランプリに出場していた海外遠征組の女子トップチーム選手も全員出場し、国内の有力選手と実力を争うハイレベルな試合が行われる。今大会より女子でもラージヒルが開催されることになり、みな“初代女王”の称号を虎視眈々と狙っていた。

「なんとしても上位に入りたいです。この2試合を目標に練習を積み重ねてきました。それにサマーグランプリ・ロシア大会で世界のレベルが分かり、良い刺激にもなっています」

国内では表彰台の常連の小林諭果。2本目に力みが出てしまうことを克服しようと励んできた。

現在女子ワールドカップにおいては、ラージヒルが主流になってきている。

そこで注目されるのがラージヒルを得意とする小林だ。

長身を利して伸びていくジャンプは、しばしば観客を魅了していた。8月に大倉山で行われた札幌チャレンジ杯で優勝し、“ラージヒルに強い小林”と名を上げていた。

「踏み切りから空中に出ていくときにスキーの先が下がってしまう欠点、それを意識して飛びました。それも解消して、風も味方してくれて気負わずに飛べました。目標としていた表彰台に立つことをクリアできました。この3位はとてもうれしいです」

思ったよりも飛距離を伸ばしていけましたと落ち着いて語ると、この冬はまずは国内のW杯に出てしっかりとした成績を残す、そんな先への思いも述べた。

「踏み切りで上方向に出てしまい、空中で後傾の姿勢になってしまう自分の課題と向き合ってきました。鹿角ジャンプ大会ではそれが修正できたように思います」

悔しさを胸に、次の大会へ

秋田鹿角大会で2位表彰台に立った茂野美咲は、万全を期しての全日本選手権に挑んだ。

しかし、風に恵まれない部分もあり、結果はノーマルヒル9位、ラージヒル8位。

「ただただ、悔しいです。落ち着いてリラックスして飛べたのですが、でもこれがいまの実力かな、と。それも悔しくて。まだわたしには技術的に足りない部分があると思います。もっともっと練習します」

悔しさをにじませながらも前を向き、努力していくことを誓った。

小林選手は今回ラージヒル3位という成績をおさめ、明るい兆しが見えてきた。もちろんトップ選手とはまだ差があると謙虚にとらえているが、海外を転戦することができるのであれば、さらに創意工夫が施され、その差がぐっと縮まってくることが予想される。

・10月22日 第100回全日本スキー選手権大会 ジャンプ競技 ノーマルヒル

茂野 9位 1本目 98.3m 2本目 77.1m 計 175.4m

小林 6位 1本目  106.3m 2本目 93.7m 計 200.0m

・10月24日 第100回全日本スキー選手権大会 ジャンプ競技 ラージヒル兼第63回NHK杯ジャンプ大会

茂野 8位 1本目 61.2m 2本目 61.8m 計123.0m

小林 3位 1本目 88.6m 2本目 106.2m 計194.8m

22日、ノーマルヒルを飛ぶ茂野
ジャンプ後、安堵の笑みがこぼれる小林
3位表彰台に上った小林

文・写真/岩瀬孝文

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最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は「 第34回UHB杯ジャンプ大会」の模様をお送りする予定です。お楽しみに!