ご無沙汰しております。

CHINTAIスキークラブサポーターの佐原です。

CHINTAIスキークラブは2020-2021シーズン(2020年4月~2021年3月)を無事終えることができました。変らぬご支援を賜り、誠にありがとうございました。

感染対策をしながらのトレーニングや大会の中止や延期が余儀なくされ、選手にとって苦しいシーズンでもありましたが、できることに着実に取り組み、参加を予定していた国内大会にもすべて参加することができました。
重ねて御礼申し上げます。

さて、CHINTAIスキークラブは既に新しいシーズンのスタートを切っていますが 2020-2021シーズンの振り返りを行って行きます。

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「苦しいシーズンの幕開け」

茂野美咲の今シーズンは、2つの課題を抱えてのスタートとなった。

1つはスキー板の変更。前年まで使用していたものと、硬さや跳ね返りなどの特性が異なる「スラットナー」に変更したのだ。新しい板に慣れ自分なりの技術を生み出していくためには時間をかける必要があった。

そのためサマーシーズンは筋力や瞬発力などの体力を上げつつ、ジャンプ練習などでテストを繰り返しながら、新しい板を自分のものにすべく試行錯誤を重ねた。

もう一つは「減量」。体一つで空を飛ぶスキージャンプ選手にとって体重コントロールは技術練習と同様に必要不可欠である。「7月までに目標体重まで減量する」という目標に向けて自分の体に鞭を打って厳しい減量を行ってきた。しかし7月までには達成できず。そんな自分に悔しさを感じつつ、さらには大会の中止や延期も重なり、気持ちは沈む一方だった。

「夏の試合が中止になって、そこから秋までとても苦しいシーズンになりました。メンタル的にもダメで、こんなに苦しくなったのは、自分の弱さがあったように思います」(茂野)

「新型コロナウイルス感染症の猛威」

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、国内で開催されるサマージャンプ大会は中止や延期を余儀なくされた。

そうした状況を受け、海外で開催される女子ジャンプワールドカップには昨シーズンのメンバー5人(髙梨沙羅選手、伊藤有希選手、丸山希選手、勢藤優花選手、岩渕香里選手)を固定し、海外遠征に送り込むという発表がなされた。

さらに札幌と山形蔵王で開催が予定されていたワールドカップも早々に中止が決定した。

小林諭果は今シーズンの強化指定選手に選出されていたため、海外で開催されるワールドカップにも出場チャンスが十分にあったが、新型コロナウイルス感染症による影響でその道が阻まれた。シーズン初めには「ネガティブな自分を変えるシーズンにする」と前向きな姿勢を見せていたが、このような状況になりアスリートとしての闘争心が失われかけていたようだった。

「冬になり絶対に勝たなければならないと意識しすぎたせいなのか、なぜか空回りしてしまいました。それでなかなか勝つことができず、反省ばかりの試合でした」(小林)

小林は、国内大会で勝ち続け、海外遠征メンバーを除いた国内女子選手の中で一位のポジションをものにしようとしていた。しかし、ウィンターシーズン開幕戦の名寄ピヤシリジャンプ大会では優勝まであと一歩と迫ったが、結果2位。そこから勝てないことをひきずり始め、シーズン中に浮上するきっかけを失いかけてしまった。

「なんとなく試合に集中できないようになってしまいました。これは気の持ちようなのかも知れませんが、大会を通して反省することがたくさんみえてきて。正直、とても悔いが残るシーズンとなりました」(小林)

そう語る小林だったが、今シーズンの総合順位は国内女子選手第一位(海外遠征メンバーを除く)。苦しい中でも必死に食らいつき結果を残すことができた。

「リスタート」

一方、現状を打開しようと茂野は動きだしていた。

専門家のアドバイスを受け、過度な運動をやめて食事・栄養管理を中心とした減量方法に切り替えた。また、悩みは一人で抱え込まずにすぐに相談した。それにより、これまで減量に割いていた時間を技術練習の時間に充てることができた。25年に及ぶスキージャンプ人生の中で、一番充実した競技生活を過ごすことができた。技術面でも新しいスキー板に慣れてきたシーズン終盤、いよいよその努力が実を結んだ。

「シーズン途中でしたが、もう来シーズンに気持ちを切り替えて、一からやり直す状況をつくり、コツコツとやってきました。それで3月にようやく1勝できました。ほんとうに、これまで悩み、やってきたことが結果につながりました。それが間違いではなかったと証明できました」(茂野)

「目標の舞台に向けて」

2022年には北京オリンピックが開催される予定だ。

すべてのスキージャンプ選手にとって夢であり、目標にしてきた舞台である。もちろんCHINTAIスキークラブの2人も、だ。 来シーズンは一つ一つの戦いが夢の実現への1歩となる重要な1年となる。 そのため、束の間のオフシーズンも気を抜くことができない。

「まずは今シーズンの自分をじっくりと振り返りながら、少しだけ休養して冬の疲れを癒します。そして、新たな筋トレを始めます。大事な来シーズンに向けた始動は、早めにしていくつもりです」(小林)

3月の大会で悲願の一勝を果たした茂野は、「この春のオフはとくに必要ありません」と言い切った。

「まずは夏に本当に結果を出さなければならないと思っています。そのためには劇的な成長が必要だと思っています。ですからオフなどいらないです」(茂野)

新型コロナウイルス感染症の収束は未だ見えないが、それでもやれることをひとつずつやっていくしかない。それぞれが苦しみもがいたシーズンだったが最後には2人とも前を向き来シーズンを見据えていた。


2020年10月24日 第99回全日本スキー選手権白馬大会・ジャンプ競技
兼 第18回NBS杯スペシャルジャンプ大会 小林

2021年2月7日 雪印メグミルクカツゲンカップ2021ジャンプ大会 茂野


2021年2月11日第62回雪印メグミルク杯ジャンプ大会 小林


2021年2月13日第32回TVh杯ジャンプ大会 茂野

写真 岩瀬孝文

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最後までご覧いただきありがとうございました。

引き続きCHINTAIスキークラブの応援をよろしくお願いいたします。

次回もお楽しみに!