こんにちは!
CHINTAIスキークラブ・サポーターの佐原です。
弊社の本社がある東京は、また少し肌寒くなりました。
新型コロナウイルスによる影響は止まらず
リモートワーク、学校閉鎖ついには買占めによる物資の不足まで。
不安な毎日が続いておりますが
早く事態が収束することを願うばかりです。
暖かい春がいつにも増して待ち遠しいですね。
皆様お身体には十分お気を付け下さい。
さてお伝えした通り、今回から今シーズンの振り返りを
スキージャーナリスト・岩瀬孝文さんの レポート・写真と共に行っていきます。
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2019年11月2日「第32回UHB杯ジャンプ大会」
大倉山にきてみると、見るからにイベント感があふれる試合の準備がなされていた。
テレビ局のアドバルーンのそばに子供たちの遊び場が作られ、様々な飲食のブースに加えてにぎやかな場内DJの登場で、ジャンプ台の下を盛り上げた。
試技のときから、そこに向かって飛んでくる選手たちは、もはやわくわく感を持って空中に飛び出し、そこは楽しさに満ちていた。
きょうも深秋の快晴、気持ちの良い朝だった。
しかし、膝のケガに対して地道に治療にあたっていた小林諭果は、早々とジャンプ台の踏み切り付近にあるコーチボックスへと入った。
手に持ったビデオで同僚の茂野選手や後輩の早大スキー部ジャンパーたちの映像をていねいに撮影して、それから静かにリフトで降りて選手キャビンへ帰っていった。
歩く姿には、いくらかぎこちなさが残るまま。
「まだ完全には回復していなくて、ケガから1週間いろいろと考えましたが、いまは無理をすべきではないと思いました。スクワットジャンプもきついのはちょっと難しい状態なのです」
精一杯、明るさの笑顔で語るが、その瞳はとても悲しそうであった。
ジャンプ選手がシャンツェを目の前にして飛べないで、それを下からただ見上げているだけ。もう、辛さにあふれてというものではない。
心の内は計り知れないが、気丈に明るくふるまう諭果さんだった。
男子の優勝争いは、世界王者の小林陵侑と今季からスキーを変えてさらに昇り調子にある小林潤志郎との兄弟対決に注目が集まっていた。
兄ちゃんと可愛い弟の熾烈な闘いだ。その場においてもスキーを履かずに身軽のままリフトに乗って中間駅で降りている自分がいる。
ただ、膝を完治させないことには何も始まらない。
その思いを胸に秘めて、小林諭果は遠くからその二人のジャンプをひっそりと見つめていた。
「夏場は良いトレーニングができていました。筋力アップも果たすことができて、それなのに…。でも、その夏に培ったことを大切に、いま飛びたい気持ちをため込んで、冬の名寄にかけます」
スキルアップに成功したサマートレーニングだった、一流のスキー選手であればケガをしてからがなんぼとの格言がある。
雪が降る12月の名寄ピヤシリでのシーズン開幕2連戦、そこで一気に頂点へ。
それを願ってやまない女子ジャンパー小林諭果だった。
ここまでノルウェーのリレハンメル北欧遠征合宿と、札幌に帰ってきてからはそういう疲労感に包まれていたような、ここ1週間の茂野美咲である。
「天気は良かったのですが、難しい日でしたね。とくに風が、です。強く吹いてくれるようで、そうでもなく、とらえて持っていけない風でした。それでも意識を高めて飛んでいきたくて。あとはそうですね、飛び出しの部分において、ジャンプ台に力をしっかりと伝えられること。その確率をさらに上げていきたく思います」
疲れたなどとは絶対に言わない茂野であるが、頑張り屋ならではの疲労感にひとしきりまみれていたようでもあった。
そしてこの先、11月後半からのフィンランド・ロバニエミ強化合宿に集中していく。
「冬の初戦がとても大事になってきます。ですから開幕戦の名寄ピアシリシャンツェを十分に意識して、ロバニエミの合宿トレーニングをこなしていきたいです」
ほんとうは、名寄はあまり得意ではなくてと、こっそりとつけ加えて苦笑するが、それは酸いも甘いもよく知る2011オスロ・ホルメンコーレン世界選手権日本代表選手だ。
再度、世界の舞台へ着実に立つ日を夢見ながら、しっかりと飛び抜けていく。
世界へ挑戦することを最大の目標に据え、日々努力を続ける茂野選手と小林選手とを心暖かく応援していきたい、この冬だ。
●第32回UHB杯ジャンプ大会(札幌大倉山)
1.伊藤有希(土屋ホーム)
2.高梨沙羅(クラレ)
3.勢藤優花(北海道ハイテクAC)
4.勢藤理桜(下川商)
5.丸山 希(明大)
6.岩佐明香(大林組)
7.大井栞(早稲田)
8.茂野美咲(CHINTAI)
*小林諭果(CHINTAI)棄権
文・写真 岩瀬孝文
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次回は「第50回 名寄ピヤシリジャンプ大会 兼 第57回 北海道新聞社杯ジャンプ大会」です!
お楽しみに。