CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートです。是非ご覧ください。
表彰台の独占
表彰台の独占が見られたのはジュニア世界選手権における日本女子チーム、それも久々のこと。その三番手で飛んで金メダルに貢献した一戸くる実(CHINTAI)だった。
「個人戦の4位はとても悔しいです。全体的にみるとジャンプ台に対応できて楽しく飛べました。浮力を感じにくかったですが、やることはできたように思います。それでも個人戦のメダルが欲しかったです」
女子団体戦は見事に金メダル、混合団体でも銀メダルを獲得した。
当地はバンクーバー五輪で使用したシャンツェであり、標高が高く空気が薄いことからも、特に踏み切りに難しさがあった。それを克服していったのである。
「安定してやることできているのですが、ぶっ飛びジャンプができずに、何か気持ち良く飛べていないんです。それを何とかしたく思います」
いまの課題を口にした。
「どうしても空中が下手なので、ぐーっと伸びていきたい。空中の風を掴めていないんです。それを改善していきたい。そうすると130m超えを目指していけます」
帰国して直行した札幌大倉山、雪印メグミルク杯では2本まとめて2位表彰台に立った。
「次はスロベニアのプラニツァです、そこでジュニア世界選手権は最後の出場になります。しっかりと結果を残して、進みたいです」
また、その悔しさを糧に、その先のW杯出場に大きく夢を馳せた。
宮の森と大倉山
札幌宮の森ノーマルヒルで開催されたカツゲンカップは、曇りの公式トレーニングに始まり1本目には降雪になり、無風に近い試合となった。
「そうですね今日は全体的に力が入っていて、踏み切りのタイミングの遅れが気になった試合でした。風が良かったので2本目は伸びましたが、技術的に試していた部分ができなくて。それに前の選手に135mを飛ばれて、もっと飛ぼうと力が入ったように思います」
それは実直なまま、宮の森をていねいに飛んでいた小林諭果(CHINTAI)。
「カツゲンカップはノーマルヒルに苦手意識を持たないように飛んでいましたが、ジャンプがかみ合わない印象でした」
そして静かに一言だけ、語った。
飛距離が短いノーマルヒルということもあり、攻め込み過ぎず安定したジャンプ第7位。それも無風で降雪の対応などと、いろいろと試しながらの飛びであった。
個性あふれる二人のジャンパー、それが札幌とカナダに分かれて大らかにジャンプしていた。与えられた環境に対応しながら、ともに、懸命に頑張っている姿があった。
シーズン終盤の試合すべてに表彰台に昇ろうとして、転戦の疲労もなんのその、ひたむきに飛び続けようとする意欲がそこに見られた。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
2023年2月2日(木)~2月5日(日)
2023 FISノルディックジュニア世界選手権
一戸くる実 個人戦:4位 女子団体戦:1位 男女混合団体戦:2位
2023年2月4日(土)
雪印メグミルクカツゲンカップ2023ジャンプ大会
小林諭果 7位
2023年2月12日(日)
第64回雪印メグミルク杯ジャンプ大会
小林諭果 3位
一戸くる実 2位