CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!

是非ご覧ください。

すべてを代弁してくれた

試合後に、そうですねと言って、やや間を置いた小林諭果(CHINTAI)だった。

そして一言、今日のジャンプはと話をしようとしたところに、なんと弟の小林龍尚選手(土屋ホーム)が、さっと割って入ってきて『来週、妙高のジャンプ大会は、完璧に飛んでみせますから観ていてください!』と、すべてを代弁してくれた。

ユカさんは、くすっと笑いながら『うん、そうですね~』と、応じた。

いつもながら姉想いのたっちゃんだ。

自分のジャンプを終えて、こと細かく、飛んでいるユカさんの飛びを2本、見つめていた。

それだけに、昨日と今日の白馬でいよいよユカさんが復調してきていたのが、よくわかっていた。

そのもの小林選手の札幌におけるこれまでのジャンプと根本が違ってきてみえた。

「ようやく、あれこれと流れが分かってきました、良いきざしが見えてきたようです」

それまでのアプローチから踏み切り、空中姿勢と着地までが、スムーズさとおおらかさに、内に力がみなぎってきていた。

前日、土曜日の台風の影響を受けた雨と霧の中での白馬記録会。途中、ポンチョを濡らすまでの激しさがあり。しかしながら、小林選手は滞空時間が長いジャンプで雨中を制していた。そして日曜、快晴の下それに伸びやかさを加えた爽やかなフライトであった。

一呼吸おいて『ほら、こんなに日焼けしたのよ、もう』と、ソックスの裾をめくり、弟にしばらく見せながら、仲良さそうに選手控え室へ降りて行った。



やっぱり右方向へ流れて

「やっぱり右方向へ流れて行ってしまいますよね。どうしよう」

3位表彰台へ立った後、少しばかり困ったような表情をした一戸選手。

ところが白馬サマーのジャンプでは、驚くことにそれが右ながら低めにぐいぐいと伸びていったのであるから素晴らしい。

そうすると、1本目123.5mで2位につけた右流れのジャンプは、あながち一戸選手の好ましい個性になってくるではないか。トップの伊藤有希選手の127mとは3.5mの差だった。もはやトップ選手らに肉薄できる飛距離で先に希望が広がる。この右寄りジャンプで突き進んでいきたい気がする。


「風が北側から吹いてきてくれると、ジャンプ台の中央部を飛んでいくことになり、ちょうどバランスが取れる(笑)」

一戸コーチがそう言うのはもっともだが、案外、このあたりを突き詰めることで2本とも120m台を揃える秘訣があるのでは。そういう印象すら伺える。

 妙高高原サマージャンプ大会後に、再び、欧州サマーグランプリ出場へと旅立つ一戸選手だ。

「今回は、海外強豪選手の皆さんの一挙一動から、貪欲に学んでこれそうです」

そう言って、ひとしきりその目を輝かせた。



文・写真/岩瀬孝文


大会結果

一戸くる実

2024サマースペシャルジャンプ記録会 109m 第7位 

2024白馬サマージャンプ大会 1本目123.5m 2本目109.5m 第3位 

小林諭果

2024サマースペシャルジャンプ記録会 105m 第11位 

2024白馬サマージャンプ大会 1本目110m 2本目86.5m 第10位