CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
伝統ある宮様大会
今季ノーマルヒルの最後を飾る試合、それが伝統ある宮様大会宮の森NHだった。
晴天ながら午前中から荒れた風に見舞われ、その様子を見ながら開始時間が1時間遅れ、しかも強風の中断を含め試合終了はなんと夕方5時近く。それから表彰式を行い日没までにはすべてを終えた。とてつもなく長く感じられた1日であった。
荒れる風の影響で1本勝負となった宮の森NHでは正面からの良風を受けて93.5mの最長不倒を記録した小林諭果(CHINTAI)だが、そのウインドファクターにおいて20.7ポイントを差し引かれた。このため結果は第6位となり、静かに表彰式の列に並んだ。

「風は良かったのですがジャンプはまだまだです。その風任せのようなジャンプをしてしまいました。それに着地でテレマークを入れられなくて。この宮の森を使った3試合で表彰台に上がれず悔しい思いがあります。風が良いのにもかかわらず…。これらを大倉山のラージヒルで修正していいジャンプをしたいと思います」(小林選手)
不運の風
ノルディック複合の宮様大会で中1日を置いて、迎えた日曜日の大倉山LH。
見るからに空中の勢いがあった1本目、そこには良好な向かい風がきていた。
この宮様大会大倉山ラージヒルにおいても晴天ながら2本目には曇天に変わり雪が降り、さらにサッツと中間と120m付近で、風が変わっていく難しさがあった。
「全体の動きはものすごく良かったのです。風も数値的にいいものを貰っていた中で、一体どこの部分の風に合っていたのかなと残念に思います。ジャンプはすごく良くなってきていたので、ここで結果を出せずに悔しいですね」(小林選手)

得意とするラージヒル、これまでゲンのいい札幌大倉山で待ち受けていた順風である。
その1本目の2位(121.5m)から一気に逆転優勝を狙ったが、2本目の不運の風により103mで、第4位に終わった。

広いフィニッシュエリアで最終ジャンパーを待ち、そこで優勝者におめでとうと声をかけ、すぐさま悔しさをにじませながらの表情で選手控室へと引き上げていった。
「いまのところまだ風に頼るジャンプになっています。頭を切り替えながら、様々な風などに対応していく好ましいテクニックを有して、3月の大倉山で仕上げてくれると思います」
コーチングボックスでつぶさにジャンプを見守った一戸コーチだった。

2025トロンハイム世界選手権(ノルウェー)の日本代表女子5人で、大会地入りしていた一戸くる実(CHINTAI)は、4人出場のノーマルヒル種目に出られず、チームのサポート役で現場を駆け回っていた。
それは世界中の強豪たちが目の色を変えて挑むワールドチャンピオンを競う場である。極寒で名高い北極海に面したトロンハイム市のグラナーセンシャンツェで、その特有な空気感や刺激、観客の熱気などからたくさんのことを感じ得て、自分の良い糧にしていた。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
■2025年2月28日(金) 第96回宮様スキー大会国際競技会 ノーマルヒル競技
6位 小林諭果 [1本目93.5m (アプローチ不良のため1本で終了)]
■2025年3月2日(日) 第96回宮様スキー大会国際競技会 ラージヒル競技
4位 小林諭果 [1本目121.5m 2本目103.5m]