CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
この経験を次に
早朝から快晴の札幌大倉山で、65回目の開催となる雪印メグミルク杯が開催された。
純白のジャンプスーツに身を委ねた小林諭果(CHINTAI)は、その午前中の輝く太陽を、めいっぱい浴びていた。
そして公式練習を無難にこなした。
10時30分からの1本目、スタートしてアプローチ(助走路)に乗り、踏み切りからしっかりと飛び出た。風は前方向からの微風。それを上手くつかみながらのジャンプで109m。
「天気が良くて、目がそれに影響されたのか、なぜかアプローチの溝が見えにくい状況にありました」
リフトに乗り込み静かに集中を増していきながらではあったが、その2本目は100mに至らずに終わり、あのHBC杯の勢いにあふれた高速ジャンプは見られなかった。
「周りがまぶしすぎたみたいで、ジャンプしにくい辛さのようなものがありました」
目をつぶり明けしながら元気なさそうに、そう応えた。
オレンジとブルーに彩られたお気に入りのヘルメットに張られた青いチンタイガ―のディカールも、どことなくさみしそうな印象にあった。
12月からの長い冬シーズンである。
今季は雪不足でスキー場がオープンできないままに終わる地域もあった。それは歴史的にみても前代未聞、地元では集客などの打撃を受けていて、ファンスキーヤーは厳しく残念な状況を迎えていた。
幸い、札幌W杯を控えた札幌大倉山には幾度か降雪があり、ランディングバーンと応援団エリアには豊かなホワイトシーンが広がっていた。
「なんともいえないです、この経験を次につなげていきます。以前の良かった飛びを自信につなげて、この先の大会を乗り切っていきます」
結果として第4位となり表彰式に並んだ。
長身でラージヒルの長距離飛行が大好きで、ダイナミックなジャンプが魅力の小林選手だ。
つねに目標を抱いてジャンプして、札幌と蔵王のW杯では世界との差をひしひしと感じ、そこでさらに自分を追い込み、進んでいく。
たまにはそれを見つめ返し、積もる疲労を癒して、吹きつける風に身を任せることも必要であった。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
■2024年2月11日(日) 第65回雪印メグミルク杯ジャンプ大会
4位 小林諭果