こんにちは。CHINTAIスキークラブ・スタッフです。

今回は、スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏による「2021白馬サマーノルディックフェスティバル ノーマルヒル記録会」のレポートをお届けします。

『2週間の待機期間を経て』

9月12日にロシア・チャイコフスキーで行われたグランプリに参加し、帰国後2週間の待機期間を経て久々の実戦の場となった「2021白馬サマーノルディックフェスティバル ノーマルヒル記録会」。この記録会は、大会さながらの雰囲気・緊張感の中でジャンプをして今の自身の状態を確認するのが目的の1つである。

待機期間を経て札幌に戻った茂野美咲は、札幌市内のジャンプ台での練習が可能になったためこの記録会への参加をキャンセル。小林諭果一人での参加となった。

もともとラージヒルが得意な小林だが、ここ白馬のジャンプ台はノーマルヒルだ。

スピードに乗り、空中に大きく飛び出して風に乗って飛距離を伸ばしていくラージヒルに対し、助走路(アプローチ)にしっかりと乗り込み、踏み切り(サッツ)でタイミングよく飛び出す繊細な技術が必要とされるノーマルヒル。小さなミスが致命的になる。

本来の試合日は前日2日(土)であったが、スタートできないほどの強風が吹き付け、開始時間が午前8時30分から午後3時に延期された。しかし、午後になってもその強い風は収まらず、結局翌3日の早朝に仕切り直しとなった。

『1本目2位からの失速』

快晴の午前7時30分に開始された記録会。

落ち着いてしっかりと飛び出した1本目は、スピードに乗りぐいぐいと飛距離を伸ばしていき、84.5mで2位につけた。

「良いジャンプができたと思います。もう少し飛距離を伸ばしたかったですが、まずまずのジャンプだったと思います」

優勝を狙える位置に付けた小林は、心を落ち着けて2本目に挑んだ。

しかし、無情な風でほぼ無風、ジャンプに優位となる向かい風はほとんどなく、78mと失速してしまった。

「狙っていた2本目は、飛び出してからスキーが上がってこなくて困りました。良い時は、スキーの先端が風を受けて顔のそばまで上がってくるのですが。」

空中で浮力を受けることができない、それはスキーのトップが下がったままであることを意味し、小林本人が意識している修正すべき点そのものだった。

「言い訳にしたくはありませんが、2週間の隔離によりマシンを使った筋力トレーニングはできませんでした。分かってはいたものの、満足いく練習ができないもどかしさで結構心がやられてしまいました」

3位とはわずか1.4ポイント差の4位。

表彰式では、ようやくいつもの微笑みが戻り、にこやかな表情のまま記念品を受け取った。この悔しさは心の奥に封印したようだった。

今日の2本目は確実に次戦の糧になる。

次の秋田県鹿角市で開催される大会はミディアムヒルで、幼い頃から飛び慣れている小ぶりなジャンプ台だ。

そこで心静かにジャンプの原点に戻り大らかに飛ぶ、それこそが小林の真骨頂である。

・試合結果

4位 小林諭果 1本目84.5m 2本目78m 計173.0m

一戸コーチとトレーニングをする小林
表彰式にて

文・写真/岩瀬孝文

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次回は「 2021全国ジュニアサマーノルディックスキー大会IN鹿角兼全日本スキー連盟A級公認2021鹿角サマージャンプ・コンバインド大会 」の模様をお送りする予定です。お楽しみに!