CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!

是非ご覧ください。

不思議な無風の展開

開始当初は、なんとも不思議な無風の展開だった。

朝一番には晴れていたが、すぐに雲がジャンプ台に差し掛かり、暗天になり小雨までやってきた。そういう湿気を帯びた中で進行していった試合となった。

それでも2本目にはやや横風に近いものの前方向から吹き付ける風がきたように見えた。

「ディフェンディングチャンピオンなので、しっかりと成績を残したかったのですが…」

と、一瞬、静かに語った小林選手。昨年のこの大会では1、2本目ともていねいなジャンプで見事に勝利をもぎ取っていた鹿角であった。

 

ただし、この鹿角はノーマルヒルよりは助走路が短く小ぶりなジャンプ台であり、一部にはその安定した助走姿勢が問われる格好となった。

「アプローチのスピードが気になりました。10月後半の全日本選手権に向けて、少しでも良いジャンプができるように頑張っていきたいです」



今日の7位という記録を胸に受けて、そこから確実に上昇していこうと、新色ヘルメットに願いを込めた。

「これまでの白一色なヘルメットから新しいカラーリングにしてみました。これは会社からいただいたもので、好きな青とオレンジがとても気に入っています。ですから、このヘルメットで表彰台へ昇りたいです!」

好きな新色の組み合わせのヘルメットで伸びやかに飛んでいく。



「2本目はそれほど悪くはなく、気になったのはアプローチスピードが、それほど出ていなかったことで、アプローチの滑りで少しスキーに乗れていないのかなという印象でしたが、そこを修正していけば、普通に飛距離は出せます。この後の札幌のラージヒルトレーニングで微調整するだけで、充分にいけると思います」

一戸剛コーチは、コーチボックスから小林選手のジャンプを冷静に分析していた。

この先、早めに札幌大倉山シャンツェに入り、現地での合宿トレーニングにてラージヒルをおおらかに飛んで最終調整に入る。そして全日本選手権での表彰台をひたむきに狙う、そのターゲットに果敢に立ち向かう、それに尽きそうだ。

小林選手は言葉を少なめに『次、頑張ります』と、紅葉がもうすぐ、初秋の冷たい空気に包まれた秋田県鹿角市を後にした。

文・写真/岩瀬孝文

大会結果

2023年10月7日(土)

2023全国ジュニアサマーノルディックスキー大会IN鹿角兼2023鹿角サマージャンプ・コンバインド大会

7位 小林諭果