CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートです。是非ご覧ください。

雲ひとつない快晴

今季昼間のラージヒル最終戦となった大倉山は、雲ひとつない快晴に恵まれた。

その大好きな大倉山において、2本目に圧巻の125mという最長不倒距離を打ち出して2位表彰台の小林諭果(CHINTAI)だ。

「良い風がきていると感じていました。でも、もっと進んでいけたはずなんです。2本目にはいい風をもらいながら力んでタイミングが遅れてしまって。それに着地が上手く決まらないのが悔しいです。次の最終戦はシーズンラストなので、とにかく気持ち良く終わらせたいです」

どうにも風に助けられて、それよりも自分のテクニックを磨きあげていきたい。そうするとジャンプ後半に飛距離がさらに伸びていく。その勝負をかける2本目こそ、大らかに気分よく飛びたいと願ってやまない。

「やはり自分の時には、いい風が吹けと思うのですが風向計が後ろを向いているが見えて、それではダメだと、おそるおそるスタート切っている自分がいます」

優勝は逸したものの、現在、自分ができる最良のジャンプでありたい。そして、今シーズン最後を飾るナイトゲームの大倉山伊藤杯ファイナルには、ライバル選手の連勝を止めて見せると、心に誓う小林だった。

宮様大会の2試合で連続の3位表彰台に立った一戸くる実(CHINTAI)は、落ち着いて語る。

「悪くはないジャンプが続いていますが、思い切りどんといけていなくて。もうひとつ掴めればイケそうで、それがちょっとまだなんです。そのイメージとしては風に戻されている感じでいまひとつ乗れていなくて。ですから、つねに気持ちよく浮いていきたく思うのです」

この6日に日本を旅立ち、欧州遠征で初めて日本女子トップチームに帯同してのW杯出場となる。

「まずは現地の環境と移動に慣れること、海外のW杯の感覚を自分なりにつかむことが大事だと思います。どのように調整して闘っていくのか、それを懸命に感じてきます。それとジャンプではノルウェースタイルの技術がいいなと思い、また個人的にはクランマー(オーストリア)が好きなので、彼女をそばで見ていろいろと学んできたいです」

あくまで貪欲にヨーロッパで過ごして、飛んでみたいと希望を語る。

そのふたりの指導者である一戸剛監督(早大)がそれぞれに課題を述べた。

「小林選手は、このところアプローチが安定してきている。しかし空中につながるカンテ(踏み切り)で、スキーの先端が少し下がるのが直るともっと良いジャンプができてきます。もともとラージヒルには自信を持っているので、そのまま進んでいってほしいですね」

と、得意とするラージヒルをより大きく伸ばしていくことが肝要であると明言。

 「一戸選手は2本とも練習通りのジャンプができました。風に当たりはずれがある場合、完璧なジャンプしないと勝てない。欧州W杯遠征で望むのは、まずはその場に慣れること。初めてのW杯会場で萎縮せずに、楽しくステップアップしていければ良いと思う」

そう、遠征先のヨーロッパでその経験値を高めてほしいと期待を込めた。

全日本スキーチーム欧州W杯遠征(3月6日~27日)

RAWAIR(ノルウェー3試合) オスロ・ホルメンコーレン、リレハンメル、ビケルスン。

ラハティ(FIN)

文・写真/岩瀬孝文

大会結果

2023年3月5日(日)

第94回宮様スキー大会国際競技会 ラージヒル競技

小林諭果 2位

一戸くる実 3位