CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
W杯に駆けて
サマー大会からのポイントを引き継ぎ、冬開幕戦この名寄シリーズの結果において、1月の札幌W杯と蔵王W杯の国内出場枠が決まる。
秋口に行われた白馬全日本選手権で充分な成績を残せずにいた小林は、その挽回を目指して11月後半からの海外遠征フィンランド・ロバニエミでの雪上トレーニングを行った、そこで得た抜群の飛躍力を持って名寄2連戦に挑んだ。
土曜のピヤシリ大会はマイナス13度にもおよぶ、きりりと冷え込んだ名寄ピヤシリシャンツェで1本目87.5m6位タイと2本目には勇躍の91mを記録して第6位。この90mを超えるかどうかで順位が大きく左右していた。
調子が上向いた日曜の吉田杯では1本目92mとビックジャンプで5位、続く2本目には前からの風に乗り91.5mを飛んで4位、きれいにテレマークを決めていた。
結果は第5位。
着地後はランディングバーンでしゃがみながら、自分のジャンプに手応えを得たことで少し涙ぐんでしまった。
開幕戦シリーズは2日間ともに1本目のジャンプをベースに2本目に順位を上げたのだ。
明らかにそのジャンプが違った。空中姿勢の安定から下の風をしっかりと受けてのテレマーク着地で、ライバルと目された数人を退けての代表入りだった。
「W杯の予選を勝ち抜き、本選に出ること。それだけです」
喜びもつかの間、言葉少なめにW杯での目標を口にした。
「時間があるので、さらに準備を重ねてW杯に駆けていきます」
それだけ夏から苦しかったのである。晴れて代表入り、ほんの少し白い歯を見せた。
その第6位と第5位という横並びの位置での表彰式とはなったが、唇をぐっとかみしめて、これがスタートだと新たに気持ちを引き締めた。
一戸剛コーチとは、ロバニエミでの50本を超える集中したマンツーマンでの雪上トレーニングだった。
「フィンランドではいい練習ができましたよ。連日じっくりとウエイトトレーニングもできて、1本1本ていねいに分析して、またジャンプを飛んで。アプローチのポジションが後傾ではなくなって自然体でスキーに乗り、スピードが出るようになりました。土曜日の1本目はまだ力みが見られサッツのタイミング遅れがあったが、それもすぐに修正して、空中におけるスキーの位置も下がらず上がらず、ちょうど良くなりました。少しずつですが復活してきましたよ」
明けて1月17日(土)と18日(日)のW杯札幌大会、その予選日が16日(金)。ここに最大のパワーを持って大らかに飛ぶ。その予選を通過して土曜日には渾身のジャンプを見せたい。
いよいよ元気一杯、溌剌とした表情になった小林選手だった。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
■2024年12月14日(土) 第55回名寄ピヤシリジャンプ大会 兼 第62回北海道新聞社杯ジャンプ大会
6位 小林諭果 (1本目87.5m 2本目91m)
■2024年12月15日(日) 第40回吉田杯ジャンプ大会
5位 小林諭果 (1本目92m 2本目91.5m)