CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!

是非ご覧ください。

万全な状況で飛ばせてあげたい

冬、札幌開幕戦の1月

『降雪のためにキャンセル』

朝には一瞬晴れていたが、HBC杯が始まる頃になると雪雲が続き、そこに風が吹きつけてきた。

アプローチ(助走路)の横に立った雪をはらブロアーの人々は、背負った機材で懸命に雪を吹き飛ばしていた。

その中には五輪金メダリスト阿部雅司さん(大倉山ミュージアム名誉館長)がいた。

「やはり選手たちには万全な状況で飛ばせてあげたいですからね!」

皆さんはその一心であった。特に踏み切りの部分には雪が積もりやすく、そこを何人もが、入念に排雪の作業を行っていた。ただ、雪が次から次へと降り積もる。

開始が1時間ほど遅れてさらに12時を過ぎても、降雪は止まずにいた。

それでも合間をみて、女子18人がトライアルとその後に1本勝負という試合が始まった。ところがゼッケン4番の若手選手が着地で深い雪にスキーを取られて転倒してしまい、また競技が中断した。

 そのトライアルでは、大倉山が得意な小林諭果(CHINTAI)がジャンプ後半に雪を切り裂き、うなりを上げて進む攻めのジャンプで飛距離を伸ばしていた。さらに、およそ2か月に渡る海外遠征とW杯出場から帰国直後で、その移動で疲労困憊にある一戸くる実選手(CHINTAI)も、雪で前方が見えにくくなったが、思い切り飛んでいた。

小林諭果選手
一戸くる実選手

「飛ぶのが怖い」

その雪は止めどもなく降り、有力選手の中には『今日は飛ぶのが怖い』との声も上がった。

結局、降雪による悪天候のためなどの影響で試合は13時過ぎにキャンセルされた。

土日に札幌大倉山で開催される女子W杯に代表入りしている選手たちは、もう少し大倉山を飛びこなしたいとの気持ちがあり、そのより良いテンションを週末に持続させていこうとした。

小林選手と一戸選手ともに、まずは札幌W杯の予選を通過、W杯の本選でポイントを獲得しようと、静かな闘志を燃やしていた。

一戸くる実選手
小林諭果選手



文・写真/岩瀬孝文


大会結果

2024年1月8日(月) 第66回HBCカップジャンプ競技会  降雪のためキャンセル