CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!

是非ご覧ください。

心と気を引き締めて

ようやく間に合いそうだ。

そういう心持ちだったと思う。ついに好調時における空中スピードに長けた、豊潤で高さあるフライトが戻ってきた小林諭果(CHINTAI)。

「妙高が終わってから約ひと月飛んでいませんでしたが、少しずつ良くなってくる手応えがあり、1本目は良い風をもらい、今季ベストリザルトの4位につながりました。2本目も無難にまとめて、でも、やはり1本目のジャンプで勢いに乗れることができました」

この夏の開幕当初、なかなか筋力が戻ってこない現実に直面して、一時パワートレーニングがおろそかになりメンタルがしぼみかけたこともあった。

いわば筋力がつきにくく、またウエイトも落ちにくい状況となってきており、それはジャンプ選手ならではの大いなる苦悩でもあった。

であれば、じっくりと時間をかけて、地道にウエイトトレーニングを重ねていこうと、気持ちを切り替えサマージャンプシーズンに挑んだ。それが10月、紅葉直前の鹿角で実りを得たのである。

「以前から全日本選手権で優勝しますと言っていましたが、それだけに早めに白馬へ入って、調整していこうと思います」

この先のトレーニングと合宿計画および最終調整への目途が見えた。

もしノーマルヒルの鹿角サマージャンプで表彰台へ昇っていれば、にこやかな笑顔に包まれてなのだろうが、逆に今日の4位で心と気を引き締めて次なるメインターゲットへと定めた、集中した良い表情になった。

地元の松尾八幡平から安代を抜け、伝統ある岩手田山のジャンプ台を横目に携え、さらに眼下に湯瀬温泉を眺めて秋田鹿角入り。もちろん可愛らしい愛犬も一緒だ。

当地で好ましい手応えを得てホッとして。しかも、ここから先へ進む活力が湧き出てきた。ラージヒルに強い長距離ジャンパー小林諭果は、いま一度しっかりと前を見据えた。

ついに、そういうパワフルなユカさんが戻ってきた。

さあ、次なるは、勝負の白馬全日本選手権(10月18日と19日)だ。

文・写真/岩瀬孝文


大会結果

■2024年10月5日(土)  2024鹿角サマージャンプ・コンバインド大会

  4位 小林諭果