CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
もっともっとトレーニングを
全日本選手権を終えて、長野県白馬村から一転、場所を名門シャンツェである札幌大倉山に移してのテレビ局カップUHB杯とNHK杯。
初日土曜のUHB杯は、恒例になったMCタマさんとDJダイゴさんによる場内パフォーマンスで、観客の皆さんは、そのマイクパフォーマンスに聞き入れ、レトロな音楽に身体を揺らし華麗なジャンプに熱狂した。
また選手からの音楽リクエストを受けて、本人が望む曲にノリながらのスタートとジャンプで、それぞれが気分よく空へ飛び出していた。
「ようやく、いい風が吹いてくれた感じです。1本目の3位から逆転できて、とてもうれしいです。2本目はその風をしっかりと受けて112mまで飛距離を伸ばすことができました。でも伊藤さんの飛距離128mとの違いを埋めるためには、もっともっとトレーニングを重ねなければなりません」
UHB杯の3位表彰台から、NHK杯で一気に2位表彰台まで上り詰めた一戸くる実(CHINTAI)だった。
すぐに優勝した伊藤選手との差を意識するあたり、成長したい意欲の表れとなった。さらには、翌週の宮の森シャンツェにおける冬仕様のアイストラック(助走路が氷状態になる)でのトレーニングジャンプに挑むポジティブな姿勢も見られた。
無風の中
女子選手のゼッケン13番は、ちょうど中盤でスタートする選手のポジションであり、ともすると風があたらない、例えば無風や逆風に見舞われるシーンが多めにある位置だ。そこでもやはり小林諭果(CHINTAI)は無風の中を飛んでいた。
白馬の全日本選手権に比べると、得意とする札幌大倉山ラージヒルである。ここでは風を受ける空中のスタンスはできていたが、肝心かなめの良い向かい風がきてくれない。そのまま1本目の飛距離84mで着地して、どうにも無念の表情となった。
順位では前日UHB杯の11位と同様にNHK杯でも11位につけて、より良い感触を取り戻しつつあった。
コーチングボックスでスタートの合図を送り、すぐさまビデオ撮影に入る一戸剛コーチは、それぞれの現状と冬への課題を語った。
「アプローチにおいてバランスよく助走路姿勢を組むことが、くる実選手はできてきた。それでスキーのスピードが出て、速やかに空中へと移行すること。あとは推進力に手を加えるとさらに良くなっていく。めざすは海外強豪選手に迫ることだ」
「春からのトレーニングの結果が出ておらず、いろいろと苦しんでいる状態の小林選手だが、身体のバランスが良い時を思い出して、気持ちを切り替えて冬前の雪上合宿へと移っていきたい」
今後は宮の森アイストラックトレーニングを積み、いよいよ雪上練習の北欧フィンランド・ロバニエミ合宿だ。その後、一戸選手はリレハンメルW杯(ノルウェー)へ出場、小林選手は12月の国内開幕戦、名寄ピヤシリ大会2試合へと進む。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
■2024年10月26日(土) 第37回UHB杯ジャンプ大会
3位 一戸くる実 (1本目115.5m 2本目121m)
11位 小林諭果 (1本目96m 2本目92.5m)
■2024年10月27日(日) 第66回NHK杯ジャンプ大会
2位 一戸くる実 (1本目115m 2本目112.5m)
11位 小林諭果 (1本目84m 2本目86.5m)