こんにちは!CHINTAIスキークラブ・スタッフです。
今回は、スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏による「チャレンジカップ2021大倉山サマージャンプ大会」のレポートをお届けします。
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『悲願の今シーズン初優勝』
この日、試技(トライアルジャンプ)をキャンセルして、控室の外から大倉山ジャンプ台をじっと見上げていた小林諭果。
「昨日の試合は身体が辛くて、それでもなんとか飛ぼうと頑張りました」
転戦と移動、そして夏の疲れが出てきたこの週末。万全な体調に近づけるべく積極的に水分を補給しながら、集中力を高めていた。
雲ひとつない晴天、抜けるような札幌の青空。気温はぐんぐん上昇し、うだるような暑さがおそいかかる。そして風もやや荒れ気味だった。それでも小林は果敢に飛び出し、1本目は104mで3位、2本目には風を受けて109mと伸ばした。
「2本とも、いい風がきてくれました」
そう謙虚に語った後は、後続のジャンプを見守った。
1本目1位の櫻井梨子選手(余市紅志高)と2位の茂野美咲は、風に恵まれなかったこともあり、2本目で共に100mを超えられなかった。小林の逆転優勝が決まった。
勝利が決まった瞬間、小林はその場にしゃがみ込み、しばらく手で顔をおおった。そこに茂野が駆け寄り、おめでとうと伝えた。
「会社にようやく勝ちました、と言えます。いつも支えてくれて本当に感謝しています」 報道陣の前でそう応えた。また、このような状況下でも大会を開催してくれた関係者に対してもありがたい気持ちでいっぱいになった。
「いま海外遠征に行っている人たちには負けたくないです。今後、代表入りのチャンスは必ずあると信じています。それに向かって努力を重ねていきます」
岩手・八幡平が生んだジャンプ一家、兄・潤志郎(W杯優勝)と弟・陵侑(W杯個人総合優勝)に肩を並べ世界へ打って出るべく、ひたむきにジャンプに取り組む小林だ。
『悔しさを胸に、次の大会へ』
落ち着いた眼差しから、淡々と語り始めた2位の茂野。
「やはり悔しいですね、それでも連続の2位です。猛烈に勝ちたかったですが。これは、もっと頑張りなさいということだと思います」
茂野は唇をかみしめながらも、次の試合に向けてすぐに頭を切り替えた。
「次戦は小さなころから慣れ親しんだ新潟石打丸山シャンツェでの試合なので、とても楽しみです。地元の応援を胸に張り切って飛びます」。
1972年に札幌オリンピックを開催した歴史あるジャンプ台、大倉山ジャンプ競技場で華麗にワンツーフィニッシュを決めた小林と茂野。好調のまま、札幌での夏を終えた。
・大会成績
優勝 小林諭果 1本目104m、2本目109m、合計133.5m
2位 茂野美咲 1本目111.5m、2本目97.5m、合計119.4m
文・写真/岩瀬孝文
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最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は「第33回塩沢ジャンプ大会」の模様をお送りする予定です。お楽しみに!