CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」

スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!

是非ご覧ください。

風を切り裂いて

雪不足に見舞われた山形蔵王、トラックで雪を運び込んで圧雪を繰り返した。そして開幕直前に数日、ようやく新雪が積もって高所にある蔵王らしい白く綺麗なシャンツェが出来あがった。

しかし、木曜日こそ快晴の青空があったが、いつもながらの蔵王の横風と降雪になりそうな天気予報となり、意気がそがれそうにもなる。そこは地元の利とばかりに、風を切り裂いて進もうとした小林諭果(CHINTAI)と一戸くる実(CHINTAI)であった。

蔵王W杯は個人戦①、スーパー団体戦(各国2選手×3本)、個人戦②が行われる充実感ある3日間。とにかく予選を通過して試合では2本目へ残り、W杯ポイントを獲得したいと願うふたりだった。

予選はほぼ無風状況であり、一戸選手が77mで40位通過を果たした。また、小林選手は76mで43位にて予選通過ならず、それはわずか1m足りなかった。

一戸選手はそのまま1本目で77mを飛んだが30位に入られなく、2本目へ進めずに終わった。

今日こそ

翌土曜日のスーパー団体戦を挟み、最終日曜日に行われた個人戦。

昼間から荒れた風と雪が容赦なくジャンプ台へと吹き付けた。

それによって予選がなくなり、さらに2時間待っての競技も降雨のため雪の緩みに繋がり着地の危険性と助走路(アプローチ)の整備に時間がかかることなどでキャンセルとなった。

 スタート付近で待機していた一戸選手は、新しく増設された2機連結型のケーブルカーで、ひっそりと降りてきた。

「これまで応援してくれた、たくさんの皆さんの期待に応えられなくて、申し訳なく思います」

と、言葉少なに語った。

蔵王最終戦の今日こそは、W杯ポイントを獲得するのだという目標を達成しようと意気込んだが、W杯特有の低めなゲート設定によるロースピードなゲームにおいて、まだ望むような飛距離を出せないことがしばしば。そしてW杯の厳しさをひしひしと体感していた。

この先、必ず生きてくる

「上体からジャンプを作り上げようとした、これはよろしくない飛びでしたね。踏み切りでスムーズに出ていけることが理想なのですが、札幌と蔵王でもそれができなくて。この後は白馬で約1週間、ジュニア世界選手権に向けた合宿を行い手を加えていきます」

一戸剛コーチは淡々と分析した。

今季最大の目標として心に描くジュニア世界選手権での表彰台であったが、個人戦の2本目こそ手応えを得た。しかし結果は前回のカナダ大会と同様に4位。大会会場のプラニツァ(スロベニア)で表彰台に乗れずに終わった。当地は日本チームの合宿などで飛び慣れていたが、1位と3位には地元若手女子選手が入り、それに押されたような僅差の第4位。だが、この悔しい経験は、この先、必ず生きてくるはずだ。

今後のW杯遠征は、ロングジャンプが期待され飛距離が上がるジャンプ台が多く組まれ、日本代表メンバーは現状トップからの3名に絞られた。さらに終盤のW杯においても代表製紙4人に決定をみた日本女子チーム。

それはすこぶるコンパクトな体制、少数精鋭な布陣でW杯後半戦を迎えることになった。

文・写真/岩瀬孝文


大会結果

■2024年1月19日(金) VIESSMANN FIS スキージャンプ 女子ワールドカップ 第11戦 蔵王大会

  37位 一戸くる実

  予選敗退 小林諭果

■2024年1月21日(日) VIESSMANN FIS スキージャンプ 女子ワールドカップ 第13戦 蔵王大会

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