CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
サマーシーズン開幕戦
これはひどい風だ。
なんとか、良いジャンプをと願った小林諭果(CHINTAI)はスタートバーで気持ちを込めた。
ところが、急に風が大きく巻き始め、待たされること30秒そしてゲートを後にした。
「この風は、なんなの」
気勢をそがれた小林選手。
朝からの雨が上がった2本目、サッツをすうっと飛び出したが、60m少しに終わり、そのまま落胆の表情で左右のジャンプスキーをゆっくりとはずした。

新しい指導者
ジャンプトレーニングを開始した秋田鹿角の合宿で、新しい指導者のヤンネ・バータイネンコーチからフィンランドの基礎技術を入念に学び、いよいよ公式戦の名寄サンピラー国体記念ジャンプ大会、サマージャンプのノーマルヒル開幕戦を迎えていた。
「基本のフィンランドテクニックはすぐに終えて、現在は次の段階にきています。もちろんユカさんには長身を生かした抜群の個性があるので、長距離ジャンプの可能性を秘めています。それだけに、ていねいにひとつずつ指導を重ねていきたく思います」
フィンランドの名門ジャンプ台クオピオ出身のコーチで、フィンランドチームヘッドコーチの実績が豊富なバータイネンさんだ。大柄な体格で優しい口調の彼は人望が厚いコーチである。
かつて、2000年代にクオピオW杯に取材で行った時に、クオピオ空港からジャンプ台までタクシーに乗車した。そのときの運転手がバータイネン。その車内にて、いまはクオピオで地域コーチをしていて、いずれはフィンランドチームで指導したいんだよと語っていた、そういう情熱にあふれた人物。それが、いまや日本チームコーチと、小林選手の個人コーチを務めている。
気持ちの切り替え
名寄開幕戦の22位という順位に、少しだけイライラ感がつのっていたが、そこは気持ちを切り替え、スタスタと足早にフィニッシュゾーンから去っていった。
シーズンは始まったばかり。次は得意とする札幌大倉山ラージヒル2連戦と宮の森ノーマルヒルだ。直向きな小林選手は、上昇の意気高く、ステップアップの道を歩み始めた。

文・写真/岩瀬孝文
大会結果
■2025年7月27日(日) サンピラー国体記念 第22回サマージャンプ大会
22位 小林諭果 [1本目67.5m 2本目60m]




