CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします！
是非ご覧ください。
課題に向き合う
晴天に大きく映えるホワイトカラーのジャンプスーツで飛び、綺麗にテレマークを決めた。
そして、そのまま両膝を抱え込んでランディングバーンを滑っていく。
おもむろにスキーを外して、それを抱え持ってフィニッシュゾーンへ。ところが、笑顔がない。
なにか考え込むような難しい表情で歩む小林諭果（CHINTAI）だった。
良い風が吹きつける得意の札幌大倉山ラージヒル。
着地後は、アプローチ、サッツ（踏み切り）、空中姿勢、着地のテレマーク姿勢など、果たしてこれで良かったのか、考え込みながら歩く毎試合のユカ選手の姿が見られた。
個人コーチのヤンネ・バータイネンさんは、「より良い飛距離を生むためにアプローチ姿勢を固めていきたい」と表現をしていた。
これはシーズン当初の秋田鹿角合宿トレーニングで提示された彼女の課題である。
「サッツも、空中も、その上に成り立つ。だから、まずアプローチをしっかりさせること。
スキーに的確に乗り、適度なウエイトをかけてスピードを出していく。そのことから手掛けていました」 柔和な物腰のヤンネコーチは、このように言う。
猛暑の札幌3連戦
サマージャンプの夏場のメインとなる札幌3連戦（宮の森・大倉山）は、猛烈な暑さの中で行われた。
自販機のドリンクは早々に売り切れ、大倉山ミュージアムの隣にあるカフェでしっかりと冷やされた、美味な道産ゆきのみずで助けられた。
札幌シリーズ初戦の宮の森ノーマルヒルで好ましい風に乗って82mを飛び抜けた。
続く札幌大倉山では90m代後半を記録。飛距離オーバー100mまでもう少しのポジションまで上げてきた。
「夏、開幕戦の名寄では動きがあまり良くなかったです。この札幌では楽しく飛べていたように思います。ただ、いい風をもらって、その飛んでいかなければならない風で飛距離が出てこないので技術的にどうしていけばいいか、じっくりと考えている状態です。またアプローチが上手くかみ合っていないのが気になります」
ユカ選手は要所においてヤンネコーチからアドバイスを得て、さらに微修正を入れているアプローチだった。
この先の札幌でのトレーニングを重ねながら、次へと進む。
新体制のCHINTAIスキークラブ
この夏から新たに就任したCHINTAI茂野美咲プリンシパル（チーム監督役）は、
「飛距離が出てくるきざしが見えてきました。やはり勝ちにこだわりながら、これからも頑張っている選手をていねいに応援、サポートしていきます！」
一般の野球部などの監督とは違い、あたりに優しさがほとばしるが、ここ一番の場面では昔とった杵柄で、選手時代の集中力に加えて、ほのかにそういう気合いが出てくるようだ。
それと夏場にテクニカルスタッフに加わったのは、アルペンスキー時代から名を馳せるスキーサービスマンとして、いまやベテランの域にある三原サービスマン（ワックスやストラクチャー調整）の手腕にも期待だ。
「弟の陵侑と一緒のワックスとストラクチャー（細かな溝）の仕上げになるスキーです。滑りますよ。これは、アプローチにも良い影響を与えると思います」
そのようなすべての要素が相まって、いよいよ大きな飛躍を生むことになってきそうだ。
文・写真／岩瀬孝文
大会結果
■札幌市長杯宮の森NH 82ｍ／78.5ｍ 146.0ポイント 14位
■札幌市長杯大倉山LH 90ｍ／92ｍ 57.3ポイント 13位
■大成建設チャレンジカップ2025 98ｍ／98.5ｍ 86ポイント 12位
