CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
我慢と長距離飛行
連日の晴れ間ながら、風待ちのためオンスーツで待たされた選手たちは皆、汗だくになった。
もちろん、そこには我慢と長距離飛行を願う選手たちがいた。
「ここの風の条件もそうなのでしょうが、空中では、ほんとうに我慢が必要です。まだそういう流れに苦手の意識があって。一連の動作として飛距離を伸ばしてテレマークを確実に入れていく。そうしたいのですが、ばらけてしまって、考えがまとまらずにいるのが現状です。そういう意味で、とても難しさを感じてしまう白馬ラージヒルです」
ジャンプが上手くはまらずに2本とも100mに届かなかった。その試行錯誤に満ちた2日間を送っていた一戸くる実(CHINTAI)。ただし、ここからが本当の勝負。まだ白馬ラージヒルがピークではない。
「いつでも、考え過ぎずに、気負うことなく飛んでいきたいのです」
9月19日からは海外遠征に出発する一戸選手。サマーグランプリのファイナルシリーズへ出場、ルシュノブ(ルーマニア)と最終戦クリンゲンタール(ドイツ)とを転戦する。
「ファイナルシリーズの方が、ヨーロッパの各国主力選手たちが出てくるので、そのW杯メンバーと一緒に闘い、どれくらい通用するかを確認しながらジャンプすること。そして、自分との違いを見つけて、これからやるべきことを得たいと思います。また、飛んだことのないジャンプ台で、よい経験を積むことが大切に思います」
この先、ヨーロッパやカナダのトップ選手に肉薄するには、どのようにして風を我がものにしていくのか、さらにトップに立ち表彰台へ昇るためには何が必要なのだろうかと、欧州の空に大きく夢を馳せた。
国内本州シリーズの試合にすべて帯同、指導した一戸監督からは現在の課題と目標が提示されていた。
「小林選手はここにきて空中がとても上手くなってきているので、とにかく思い切りよく飛んでいきたい。また、一戸選手は空中の動作において腕を開いたりする余計な動きをしないこと、それが大事になってきます」
これらを念頭に努力を重ねた夏場のふたりである。
この日、ジャンプを飛び終えて、しばらくすると二人揃ってファンの皆さんへポストカードを配るため、軽装になってまた会場へ出てきた。
今回のカードは2ショットでCHINTAIブルーが絶妙に映えるカードだ。それを観客へ手渡し、いつも応援してくれるファンの皆さんに感謝の気持ちを込めて、楽しそうに一緒に写真に納まっていた。
次なるターゲットは10月後半、宮の森全日本選手権ノーマルヒルと、大倉山全日本選手権ラージヒルで会心のジャンプを見せること。
ふたりそれぞれが夏の仕上げである札幌シリーズで、存分なまでに、その実力を発揮したい。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
2023年9月9日(土)
2023サマーノルディックフェスティバルスペシャルジャンプ記録会
3位 小林諭果
5位 一戸くる実
2023年9月10日(日)
2023白馬サマージャンプ大会
4位 小林諭果
6位 一戸くる実