CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートをお届けいたします!
是非ご覧ください。
世界との差
1月頭にキャンセルとなった幻のHBC杯では、激しい降雪で前が見えにくい状況にありながら果敢に飛び出し、さらに吹き付ける横風をものともせず、ジャンプ後半にはぐいぐいと伸びる抜群の飛距離を出した小林諭果(CHINTAI)だった。
そのときの勢いと余力を残しながら、確かな手応えを得て週末土日にかけた札幌W杯。
ところが土曜日の午前中に行われた予選では、完全な無風な状態。ロースピードでは飛距離が伸びずにそのまま予選を通過できなく、肩を落とした。
「初戦の予選を通過できなくてとても残念に思います。今季最大の目標として頑張ってきたW杯だったのに結果を出せずに終わって、ものすごく悔しいです。それで、本当にたくさん応援してくれた会社の皆さんに申し訳ない気持ちがあります。また、世界との差がよく分かりました。やはり日本国内の試合で勝てても、そこから先が大切なのです。これからも着実に頑張っていこうと思います!」
日本チームがW杯で国枠(日本選手出場枠)を使用できるのは1試合目の土曜日のみだ。そのため日曜の2試合目には札幌大倉山の応援席を50人近くで埋めたエイブル&CHINTAI応援団に入って、チームで同僚の一戸くる実(CHINTAI)らの日本代表選手に大きな声援を送っていた。
「次の蔵王W杯こそ、本選に出場してポイントを得られるように気持ちを込めます」
今回の札幌W杯と蔵王W杯シリーズは、出場58選手から予選において40名に絞られ、さらに2本目は30名による勝負となる。これはなかなかの関門と言えた。
それとともに、W杯は低いゲートを使用してアプローチスピードが低速に設定される試合の連続だ。そこで各選手の飛距離を抑えた競り合いの好勝負が繰り返される。
通常の国内の試合では、わりと高めなゲートに設定されアプローチスピードが出て、高校生なども飛距離を伸ばせる状況にあるが、さすがW杯ではそうはいかず厳しく低めなゲート設定での試合となるのだ。
昨年11月から、およそ2か月の海外遠征を積んできた一戸くる実(CHINTAI)は、なんとかW杯ポイントを獲得したものの、他は予選落ちと2本目へ進めずなどがあり、欧州転戦による厳しきW杯の洗礼を浴びていた。
地元の日本でW杯ポイントが取りたい
昨年11月から、およそ2か月の海外遠征を積んできた一戸くる実(CHINTAI)は、なんとかW杯ポイントを獲得したものの、他は予選落ちと2本目へ進めずなどがあり、欧州転戦による厳しきW杯の洗礼を浴びていた。
「地元の日本でW杯ポイントが取りたいです」
そう願い、心が一杯になりつつも、帰国後には海外遠征の疲労が大きくのしかかった。
いわゆる疲れを上手に取り除きながらトレーニングを進め、しかも集中力を欠かすことなく試合へアタックしていくのがベターであるのだが。極度の時差ぼけなどが抜けきらずにいた。
これらすべてを含め、一戸選手は長期の海外遠征と合宿の経験を積み重ねていたわけである。
ともに元気に、ポジティブな気持ちで蔵王W杯と、今後のシーズンをしっかりとこなして勝利につなげていこう、との意欲に燃えていた。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
2024年1月13日(土) VIESSMANN FIS スキージャンプ 女子ワールドカップ 第9戦 札幌大会
35位 一戸くる実
予選敗退 小林諭果