サンピラー国体記念第16回サマージャンプ大会
2018年7月29日
この日も北海道は暑かった。
名寄市は、北海道北部の中心の街、
陸上自衛隊の駐屯地と大学がある地方都市、
さらに進むと最北端の稚内市へとつながる
内陸盆地にあった。
もともとスポーツと健康の町で、
ジャンプ(ピヤシリシャンツェ)、
クロスカントリースキー(健康の森)に、
アルペンスキー(ピヤシリスキー場)、
カーリングなどのウインタースポーツの一大拠点。
雪が良く、かつてW杯ノルディック複合を開催した実績があった。
好天、やはり気温が上昇、かき氷に涼を求める試合。
ここで優勝できると、海外遠征メンバーにほぼ決まりという
茂野美咲(CHINTAI)には、力みが見られた。
「勝てば代表入りできると考えたら、その緊張で
身体が動かず思うように動きませんでした」(茂野)
勝負を決める2本目のジャンプ後にランディングバーンに突っ伏し、
涙に暮れて、そこから言葉なく控室へと戻っていった。
「どうにも力み過ぎなんですよ、自分でわかるんです。
身体がガチガチになってしまう。
そんなあたり、どうしても弱いですよね」(茂野)
少し落ち着いてから涙を浮かべて、静かに語る
踏切付近に設置されたコーチングボックスから
下のランディングバーンへと降りてきた小川コーチに
「まだ、若いな~」となぐさめられて、
緊張の糸が途切れたのか、また泣き出してしまった。
その悔しさを胸に秘めて、いよいよ、今週4~5日の
札幌サマージャンプ宮の森大会2連戦にかけていく。
「もともとラージヒルが得意なのですが、
海外遠征の道はノーマルヒルの結果で決められるので、
それをしっかりと飛ばなければ」(小林)
注目の長身選手小林諭果(CHINTAI)は、良風を受けて
どんどん伸びていく長距離ジャンパーであった。
試合後には冷静に自分のジャンプを見つめていた。
「トレーニングが不十分なもどかしさがあります。
もっと追い込んでいかないと。
妥協せずに打ち込む筋トレもそうです、
いま足りないものはわかっているつもりです。
気持ちを切り替えて札幌宮の森へ行きます」(小林)
ジャンプ後には、茂野と小林ともに口数は少なく、
頭を垂れてポツリと語った。
このインパクトに欠ける成績では、
何も言えないのはよくわかっていた。
優勝は丸山希(明大)、バランスの良い
ジャンプを2本揃えての勝利だった。
長野県野沢温泉村で民宿を経営する実家、
女子ノルディック複合の選手として明大へ進学。
かつて大学スキー部でノルディック複合
の選手であった兄は現在、エイブルで優秀な
営業マンとして活躍していた。
丸山は明大らしさの質実剛健ながら、
風をつかみ柔らかく伸びていくジャンプを見せていた。
これは大型選手の岩佐明香(日大)パワージャンプとは、
また違う浮上がみられるものだった。
女子ジャンプシーンには次々とライバル選手
とくに大学生選手が出てきている。
それだけに次なる夏の正念場、
札幌サマージャンプ宮の森2連戦は、
大きな試金石となる。
ここで一発、逆転の表彰台を狙い。
そして海外遠征メンバー選出へと進んでいきたいチーム
CHINTAI精鋭ジャンパーふたり、茂野と小林であった。
●全日本サンピラー国体記念第16回サマージャンプ大会
北海道名寄市名寄ピヤシリシャンツェ
1.丸山 希(明大)
2.岩佐明香(日大)
3.五十嵐彩佳(札幌大)
4.茂野美咲(CHINTAI)
6.小林諭果(CHINTAI)
(文・写真 岩瀬孝文)
▽CHINTAIスキークラブ結果報告記事は こちら
▽大会公式リザルトは こちら