2018年8月4日(土)

第36回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会

『首位折り返し力量にあふれて』

朝方から、やや蒸し暑い風に包まれた
伝統あふれる札幌宮の森シャンツェ。
この夏は北海道も猛暑にあった。
しばしの涼を求めて道内に入った
ジャンプファンは、少しだけ
拍子抜けしていた。

きっちりと着地を決めて
1本目の首位に立った注目の茂野美咲(CHINTAI)は
気合充分な心持だった。

というのも結婚したての旦那さんが、
茂野のジャンプをチェックし、
それをスポーツ選手ならではの運動分析で、
的確なボディーコントロールを指摘していたからだ。

 

「とことん優勝を狙っていただけに、
 やはり悔しさに満ちています。
 とくにジャンプ後半に伸びがみられ始めていたので」(茂野)

 

にこやかな復調ジャンプで躍動一番。

 

「先週日曜日に飛んだ名寄では2本目に緊張がつのり、
 ガチガチのままでドスンと落ちてしまいました。
 ですから今日は、ほんとうに力まずにと
 エイブル応援団のリズムに合わせて上半身の力をすっと抜いて、
 飛んでいきました」(茂野)

 

 この日は会場が一段と盛り上がった(エイブル応援団)

 

と、内地から大挙やってきていた、
いまや女子ジャンプになくてはならない
エイブル応援団の大歓声に乗ってジャンプした。

 

「もう優勝にこだわりたくて。
 日本女子のトップ4人に限りなく近づいていきたいのです。
 でも、気持ちを切り替えて明日のジャンプに心を込めます」(茂野)

 

良い飛びが見られた今日の1本目だ、
そのままの勢いで連戦の試合も思い切り飛ぶだけだ。
終始、笑みを浮かべて表彰台に立つ茂野だった。

 

表彰台で笑顔を魅せる茂野(左)2018年8月4日

 

長距離ジャンプのラージヒルにその才能が開花する小林諭果(CHINTAI)は、
少しだけ、悩みつつの飛躍になった。

「風が良くなってくると、伸びがあるジャンプを出すことができます。
 今日は東京から応援にきてくれたCHINTAIの同期社員のみんなに
 格好いいところを見せられた気もして。ほんとうに声援がうれしく思います」

同僚がホットに見守る中で、会心のジャンプを見せたい。
そんな切なる願いに満ちていた小林だった。

 

この日は小林の同期も東京から応援に来てくれた(2018年8月4日)

 

「ジャンプは名寄のときよりもだいぶ上昇してきています。
 普段の練習ではいいものを出せているので、
 それを本番の1本に出せるように集中していきたいです。
 それに明日の試合はディフェンディングチャンピオン、
 思い切りたのしんで飛んでいきます」(小林)

 

と、つねにポジティブに先を見つめていた。
であれば8月25日(土)の白馬女子ラージヒルこそコバユカ選手、
魂のジャンプが見られるに違いない。そのシーンを楽しみに待ちたい。

 

この日はチンタイガーも応援に駆けつけ子供達に大人気だった

 

札幌市長杯宮の森、優勝したのは大学生ジャンパーで
今夏に急成長をみせた丸山 希(明大)。
もともとノルディック複合の選手として長野県飯山高からの入学だったが、
そのアプローチ姿勢が安定したとたんに抜群の飛距離を生み出せるようになった。

実家はスキーの盛んな野沢温泉村で暖かな民宿を営む。
兄は東洋大でノルディック複合選手として活躍、
現在はエイブル支店で熱心に営業活動にあたる優秀な社員である。

 

エイブル応援団と記念撮影をする茂野選手(2018年8月4日)

 

●第36回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会


札幌宮の森
1.丸山 希(明大)
2.茂野美咲(CHINTAI)
3.岩佐明香(日大)
10.小林諭果(CHINTAI)

 

(文・写真 岩瀬孝文)