逆転優勝を遂げた小林諭果
2018年12月15日
第49回名寄ピヤシリジャンプ大会
![](https://chintaiski.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/436b3a9e64c2ff327b809796d5fd455a.jpg)
今シーズン注目が集まる長身ジャンパー小林諭果(CHINTAI)の
トライアルジャンプを見たとたん、
シルエットが変わったという印象を受けた。
空中シーンに張りが出てきていたのである。
それも懐を深くして、両肩から思い切って突っ込んでいくスピードジャンプになっていた。
「あの夏場がひどかったんです、
迷いもありました。
それで新たに学びたく思って
フィンランド合宿に行きました。
そこで現地のフィンランド人コーチに指導を受け、
納得のいく動作が得られました」(小林)
ダイナミックな攻めのジャンプで、
1本目89mで3位につける。
ちょうど1位タイには高校生の勢藤理桜(下川商)と
早大スキー部の後輩で大井栞が並んでいた。
その差にしてわずか1.5ポイント、充分に逆転可能だ。
であれば、もちろん優勝を狙っていくしかない。
2本目どうしようもない緊張感に包まれて、
胸に手をやる小林だった。
先に飛び終えていたチームメイトの
茂野美咲(CHINTAI)が
控室キャビンへ戻ることなく、
わくわくと小林のジャンプを見守っていた。
そしてあと残りふたりの飛距離が伸びないのを
見届けて、すぐに小林におめでとうと抱きついた。
『やったー』と小林が声を上げた。
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「風はあまりありませんでしたが、
とにかく力まないように飛びました。
トライアルのときから緊張して、
でも優勝を意識して結果を出したいと願ってのジャンプでした」(小林)
この冬には所属のCHINTAIが海外合宿トレーニングを実施した。
行先はジャンプの本場北欧フィンランド。
北部にあるサンタクロース村で有名なロバニエミで、
五輪銅メダリストのベテラン指導者ユッカ・ユリプリコーチから
フィンランドの基礎技術を学んでいた。
![名寄ピヤシリ小林飛型](https://chintaiski.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/134537fb59780c3d4e8c111b500b960e.jpg)
「腰の位置を高くして飛んでみなさいということでした。
優しい英語でやりとりしながらイメージをつかんで、
一歩ずつでしたが、合宿中は77本のジャンプをこなして。
その感覚が身体にしっかりと染みついたのだと思います。
帰国してようやくこの名寄でいいジャンプを出せました」
そう、うれしそうに語った小林だった。
![名寄ピヤシリ女子表彰台](https://chintaiski.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/8cc0b4344e7c4b93595a72ffc9f0a905.jpg)
短期間で新しいテクニックを習得して、
すぐに優勝してしまうのは
小林ファミリーならではの
ジャンプセンスの良さを
受け継いでいる証明だった。
今季シーズン絶好調にあり既にW杯で4勝をあげて
個人総合首位を走る弟の陵侑(土屋ホーム)と、
前年にW杯初優勝を記録した
兄の潤志郎(雪印メグミルク)のジャンプを観て、
秋口に、いまは飛距離を出せないと悩んでいる場合ではないと奮起した。
望むのは土日の名寄国内試合2連勝。
女子代表メンバー入れ替えの可能性に、
大きく前進した。
「自分のジャンプ技術のレベルが向上してきたように思います、
それに雪上で飛ぶ本数をたくさんこなせたので、
それが自信になっています」(茂野)
フィンランド合宿でまたひとつ手応えを得た茂野美咲(CHINTAI)だった。
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「全体にアベレージが上がってきているので、
あせることなく落ち着いて飛んでいきたいと考えています」(茂野)
女子出場31名中31番目というラストジャンパーの注目される位置から、
1本目はやや風に恵まれなかったせいもあるが、
そこは2本目に持ち直して7位に入ってきた。
ベテラン選手として経験豊富さで、
あらゆる状況に対応できる抜群のジャンプセンスを持つ好選手だ。
今後の上位進出が期待される。
![ピヤシリ7位茂野美咲](https://chintaiski.jp/wp/wp-content/uploads/2019/01/9ad371ea89a8bc9ac8611eb796ce0e93.jpg)
(文/写真 岩瀬孝文)
第49回名寄ピヤシリジャンプ大会
1位 小林諭果 (CHINTAI)
2位 大井 栞 (早稲田大学)
3位 勢藤理桜 (下川商業高校)
4位 渡邊 陽 (東海大学)
5位 御家瀬恋 (イトイ産業)
6位 宮嶋林湖 (白馬中学校)
7位 茂野美咲 (CHINTAI)
8位 久保田真知子 (飯山高校)