CHINTAIスキークラブ「ジャンプ通信」
スキージャーナリスト・岩瀬孝文氏によるスペシャルレポートです。是非ご覧ください。
待ちに待った冬がきた。
待ちに待った冬がきた。
豊富なアスピリンスノーにあふれていた北海道名寄市ピヤシリシャンツェだった。
「どうしても勝ちにこだわりたいのです」
言葉は少なめに、その雪を見つめ凛とした表情となった小林諭果選手。
それというのも名寄へ入る直前まで、フィンランドのロバニエミを拠点として雪上の長期トレーニング合宿で、ジャンプ100本以上を飛びこなしていた。
サンタクロース村で有名な町のオーナスバラスキーエリアにそびえるノーマルヒル、ここはW杯ノルディック複合の開催地でもあり、ジャンプ台の左手にはそのクロスカントリースキーコースがあった。
そこのコテージをベースに役3週間、毎日、ジャンプ台へと通っていた。
その合宿の合間にはクーサモ・ルカで行われた男子W杯に応援へ出かけて、弟の小林陵侑選手のジャンプに声援を送り、華やかなW杯から良い刺激を受けていた。
「今シーズンは、だいぶルールが変わったので、そのマテリアル(用具)テストを行っていました。それもスキーとブーツ、ジャンプスーツをより入念に。とても良い雪でしたので、確かな手応えを得ることができました」
名寄の開幕シリーズは2試合。この初戦こそ一緒に合宿していた高校生一戸くる実選手に抜かれて2位に甘んじ悔しさに包まれたが、そこから奮起した。
注目の2試合目には降りしきる雪も何のその、緊張もなく自分のジャンプを貫き、とても落ち着いて飛距離を伸ばした優勝、着地ではテレマークをしっかりと入れた。
「W杯に選ばれたら、これまで応援してくれた皆さんと会社の人たちに応えて、思い切り飛びたいです。それに大倉山のラージヒルは得意ですから」とにこやかに応えてくれた。
この優勝の感激と1位表彰台から観る、晴れやかな光景を忘れることはなくつねに集中力を持って攻める1本。それにかけていこうと心に決めた小林諭果選手。
「この後はしばらく雪が良い名寄で、後輩たちと一緒に合宿をして自分のジャンプを仕上げていきます」
ついには大倉山と蔵王で開催される女子W杯国枠メンバーに選出され、目標はW杯ポイント獲得そして先へ続く海外遠征メンバー入りが見えてきた。
『やるべきことはまだたくさんあります』
たのしさあふれる白い雪の上、そんな冬がきた。
ユカさんは一歩ずつ、ステップアップを果たそうと駆け出した。
文・写真/岩瀬孝文
大会結果
2022年12月17日(土)
第53回名寄ピヤシリジャンプ大会兼第60回北海道新聞社杯ジャンプ大会名寄ピヤシリ大会 2位
2022年12月18日(日)
第38回吉田杯ジャンプ大会 優勝