2018年8月5日(日)
宮の森チャレンジカップ2018サマージャンプ大会
『明日への糧を胸に秘め』
軽装の半袖短パンでは肌寒くなった札幌宮の森。
案の定2本目になると風が荒れ始めた。
「風頼みではなくて、
しっかりとした技術のもとに
結果を出したかったです」(小林)
ゴーグルの下で泣いていた小林諭果(CHINTAI)は、
良い風に恵まれることないまま夏の札幌シリーズを終えた。
「成績を出せずに悔しくて。
海外遠征メンバーの選考はノーマルヒルのみなんです。
いくらラージヒルが得意であってもダメなんです。
ひたすらに飛んでいるんですけども…」
長身のロングジャンパー小林は、そう言ってゴーグルを外した。
そこに大粒の涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。
先シーズン、勇躍、W杯初優勝を遂げていた五輪代表の
小林潤志郎(雪印メグミルク)を兄に持つ岩手県八幡平市の名門ジャンプ一家。
弟は同じく五輪代表の陵侑(土屋ホーム)と、
今後が注目される高校生の龍尚(盛岡中央高)を従え、
日の丸を背負う宿命に彩られた女子逸材のコバユカである。
そこで夏8月の後半、得意とする白馬女子ラージヒルの長距離ジャンプに期待したい。
きっと彼女はやってくれる。
今日こそは表彰台の中央に立つと気迫を込めた茂野美咲(CHINTAI)だった。
「飛び出しは良くなってきました。
あとはジャンプ後半の技術を確かなものに
仕上げていくことです。
立って突っ込むことがたまにあるので。
理想の空中姿勢で楽しく飛べるように調子を
重ね上げていきます」(茂野)
念を込めた新型のブルーヘルメットが、大空を躍動する。
札幌宮の森チャレンジカップは6位に終わるが、
すぐに気持ちを切り替えて今週7日からの
女子チーム合宿に突入していった。
ここで連勝したのは絶好調にある丸山 希(明大)。
前日に優勝を遂げて、明大スキー部監督で
前全日本スキー連盟競技本部長の
成田収平氏から祝福の電話を貰っていた。
よくみると試合前のアップの段階で、
入念なインラインスケートで
小さなジャンプを繰り返し、
そのボディバランスの良さが垣間みられた。
また、ノルディック複合の
インカレ選手だったエイブル勤務の兄と、
名選手として女子ジャンプをリードしていた
姉(丸山 純)ゆずりの抜群なスポーツセンスで、
さっそうとサッツを切っていった。
これでサマージャンプ欧州チェコへの海外遠征と
日本チーム入りを決定づけた。
さらに期待の若手選手では鴨田鮎華(下川商)と
地元下川で2トップを形成していた御家瀬恋(イトイ産業)に、
信州野沢温泉村出身でノルディック複合をもこなす宮崎彩音(飯山高)という
10代の秀逸な女子ジャンパーたちの成長とその育成が楽しみでならない。
●宮の森チャレンジカップ2018サマージャンプ大会
1.丸山 希(明大)
2.岩佐明香(日大)
3.鴨田鮎華(下川商)
6.茂野美咲(CHINTAI)
10.小林諭果(CHINTAI)
(文・写真 岩瀬孝文)
▽CHINTAIスキークラブ結果報告
宮の森札幌市長杯/チャレンジカップ結果(2018年8月4,5日)
▽宮の森チャレンジカップ2018サマージャンプ大会
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