FISジャンプワールドカップ女子蔵王大会予選

2019年1月17日
クラレ蔵王シャンツェ

クラレ蔵王シャンツェ(2019年1月17日)

東北の名だたる温泉場として、
たくさんの湯治客を呼ぶ山形の蔵王温泉。
ここでW杯個人戦が2試合と
団体戦1試合が組まれていた。

そのもの、夕刻からたいそう冷え込みが厳しい蔵王シャンツェ。

てくてく歩いてジャンプ台まで昇ってくる
お客さんも防寒対策をしっかりと、
地元の日本選手を応援しようと張り切っていた。

その観戦スペースは、今季から掘り下げられた
ランディングバーンの西側の高台まで広げられ、
ゆったりと観やすいものになった。

 

もはや女子ジャンプに欠かせない存在となった
エイブル応援団は、その中央部からいくらか
フィニッシュゾーン寄りの好ポジションに連日、
幟とフラッグをかかげ、陣を張った。

 

そして精いっぱいにエースの高梨沙羅(クラレ)と、
CHINTAIスキーチームの茂野美咲と小林諭果ら、
日本選手全員に熱い声援を送っていた

 

ここで、なんとしても予選を通過したい小林だった。

「どうにもわからなくて、
 どのように飛んでいいのか考え
 あぐねてしまいました。それは、乱れていた
 風の影響もあるのだと思います」

木曜の夕刻に行なわれた蔵王W杯予選では、
無風から逆風に変化する意地悪な風が、
連続で吹き抜けていた。

そして、ある程度の人数が飛んだところで中断、
そのまま風待ちになり、
結局のところ風がやみそうにないとして予選中止。

強風で、選手全員がさんざん待たされてだ。

 

もともとヨーロッパ勢に対抗できる長身選手で、
どちらかといえば高速スピードになる助走から
飛距離が伸びるラージヒルを得意としているだけに、
ノーマルヒルの蔵王温泉シャンツェは少々苦手に感じていた。

「そうなんです、いままで、ここで
 予選を通ったことがないんですよ」

と雪面に視線を落としながら、しんみりと言う。

 

 

笑顔をみせる茂野美咲(2019年1月17日)

 

札幌W杯でポイントを獲得し、
その上昇気運に包まれた茂野美咲は意を決し
蔵王の予選に入っていった。

ところが蔵王温泉の独特な東側の林間から
吹き付ける横風に、
しっかりと対応していかなければと、
その風対策に頭をめぐらせていた。

「思い切ってなんですが普段通り飛べばいいと、
 自然体で飛び出すしかないと。これも、
 先週、札幌W杯でポイントを取れたことが
 自信になっています」

茂野はとことん張り切っていた。

 

日本チームは高梨沙羅(クラレ)、
伊藤有希(土屋ホーム)、
勢藤優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)、
丸山希(明大)、岩渕香里(北野建設)と
国枠から昇格した茂野そして岩佐明香(日大)などが
W杯で一番でも上を目指したいと願った。

さらにこの蔵王温泉W杯では
個人戦2試合における日本選手の表彰台に、
団体戦においてディフェンディングチャンピオンで
ある日本チームの連勝が期待されていた。

しかし、ドイツチームやオーストリアチームなどの 仕上がりの良さが気になったのは紛れもない事実。 だからこそ、頑張れジャパン女子。
クラレ蔵王シャンツェ高梨沙羅選手(撮影/岩瀬孝文)

(文/写真 岩瀬孝文)