FISジャンプワールドカップ女子蔵王大会第1戦
2019年1月18日(金)
クラレ蔵王シャンツェ
日本チームの応援を始めてからおよそ7年、
女子スキージャンプの声援とリードは、
もうお手のもの、
とくに緑色があざやかなエイブル応援団。
夕方からの試合に向けて昼食後には
ジャンプ台で準備し、続々と会場に上がってくる
観客の皆さんに応援フラッグなどを配り、
そういったサポート体制は抜群だった。
やや雪まじりの中で静かに進行した試合は、
もともと若手選手の頃から日本の
主要ジャンプ台を飛び慣れているベテラン選手の
ダニエラ・シュトルツ=イラシュコ(オーストリア)が優勝。
そして、いよいよ期待の
高梨沙羅(クラレ)が2位表彰台に昇った!
それも札幌W杯のあと蔵王シャンツェでの
事前トレーニングが成功をみた格好だ。
「ここにきてアプローチが、
いくらか安定してきました。
ただ、まだ完全なものではない
イメージがあって、そこをどのように
詰めていくかが今後の課題です」
謙虚なままに、素直に心のうちを語った。
札幌W杯に続いてこの蔵王においても
2本目に進出して28位に入り、
念願のW杯ポイント獲得した
茂野美咲(CHINTAI)は、やるべきことが
できたという安堵の笑顔が見られた。
「きびしい横風に対しても、ある程度、
予期はしていましたから。
あせることなくじっくりとそれに
対応していくことができました」
蔵王の難解な風を攻略できた自信が芽生えてきた茂野だ。
そこに、日本チームの応援をしながら
フィニッシュエリアのフェンス越しに
海外有力選手のジャンプを見つめる
小林諭果(CHINTAI)の姿があった。
「蔵王での飛び方が
いまひとつわからないというか、
自分が考えすぎかもしれませんね。
あれをしたい、これをしたいと
ジャンプ技術のことばかりで、
いま頭の中は一杯なんです」
いくらかノーマルヒルには苦手意識が働いているのか、小林の表情に無念さがにじんだ。
W杯に出場する、それは大きな壁ではない。
ジャンプ選手ならば世界で活躍したいと願う、これもチャンス次第だ。
いまの日本チームには様々な可能性がある。
メンバーも若手からベテランまで
個性ある選手が揃い、どのような局面からも
果敢に攻めに出ていかれる状況にある。
また、そこに日本女子特有の
ジャンプ技術が生み出されることも
充分に考えられる。
それが各地に点在する地元ジャンプチームの
ジュニア選手たちの指導に息づくことになれば、
再度、世界のトップクラスに君臨する
日本選手の姿が見られることだろう。
その良き風に乗っていくことが肝要である。
これからどんどんと厚みを増していく
女子ジャンプチームを望みたい。
(文/写真 岩瀬孝文)