2018年2月25日(日)

HBC杯

 

国内で唯一のノックアウト方式1のHBC杯。
前年の優勝は小林諭果(CINTAI)だった。

もちろんディフェンディングチャンピオンとして狙うべく気迫充分に試合に入っていった

 

表彰式で笑顔をみせる小林選手(HBC杯大倉山)

 

しかし、オリンピック帰りの選手たちが出場していた。

 

「昨日よりもより良いジャンプをしたくて。
でも、頑張ろうと緊張してしまって(笑)」(小林)

 

試合ルールはまず出場の全選手が予選の1本を飛ぶ、
そこからポイント順に上位8名が準決勝に進み、
そこから勝ち上がりで準決勝と決勝へと進んでいくものだ。

優勝賞金は女子も今回から100万円になり、
それぞれがその獲得めざしてしのぎを削った。

 

この日の予選を4位で通過した小林選手

 

予選ラウンド、小林は105mを飛び、
3位表彰台を飾っていた茂野美咲(CHINTAI)は98mで
楽々と予選通過、準々決勝8枠に進んだ。

首位は圧巻の130mを飛んだ伊藤有希(土屋ホーム)もちろん優勝候補の筆頭。

 

CHINTAIスキークラブのふたりとも予選を通過して、ほっとしたのもつかの間、
そこでなんと実現してしまったのが小林諭果と茂野美咲のチーム同僚対決だった。

 

この対決は準決勝あたりで、との望みを持ったが、案外、勝負とはそういうもの。
こうなっては仕方がない。
勝ち残りはひとりだが両方に残ってもらいたいと、つとめて冷静に戦況を見つめた。

 

ともにフェアなまでに正々堂々と飛べばよいと、それぞれが思い切り空中に飛び出した。

 

準々決勝CHINTAI対決でトップバッター茂野選手

 

「ジャンプは2本とも踏み切りのタイミングをはずしてしまって。
それで、いい風をつかみきれずにでした。
悔しいですが、同じチームのユカが勝ってくれれば
CHINTAIスキークラブにとってうれしいことです」(茂野)

 

下で伸びていくジャンプを飛んで120.5mの小林が勝利、111.5mの茂野は敗退。
しかし仲間へのエールは惜しみなかった。

 

続く小林は優勝候補筆頭の伊藤との準決勝対決、
厳しい勝負になるとの予想を覆した小林は風に乗ったベストジャンプで120.5m!

 

そこで伊藤は落ち着いて飛んだが、いい風に恵まれず失速112.5mに終わった。
これで小林が決勝進出を決めて、その相手は勢藤優花(北海道ハイテクAC)となった。

 

だが、その結果は2連覇ならず。

「タイミングが遅れてしまって、なんででしょうね。
緊張しているのか、気合を入れすぎているのか。
そのあたりもっとトレーニングしていかないと」(小林)

すぐに反省点を口にした。

そのあたりはつねに前向きな男子選手小林潤志郎と小林陵侑兄弟という
小林ファミリーの一員だった。

 

HBC杯表彰式で笑顔をみせる(左から)小林選手
、勢藤選手、伊藤選手

 

「兄と弟とは、たまに一緒で出場できる大会になるとほっとしています。
この先の国内大会は、すべて一番を目指す気持ちで飛びます」(小林)

準優勝の賞金10万円を手に、心意気も新たに全勝宣言の小林。

さらには国内での勝利に意義を感じている茂野も、
気合いっぱいの輝きフェイスであった。

 

笑顔をみせる茂野選手(2018年2月25日大倉山ジャンプ競技場)

 

 

(文・写真 岩瀬孝文)

 

第60回HBCカップジャンプ競技会 公式リザルト
 女子 / 男子

 

 

注)

1ノックアウト方式 : 勝ち抜け方式による対戦。トーナメントの一種。
HBC杯(2018年)のルールとして、
出場の全選手が予選の1本を飛び、
そこからポイント順に上位8名が準決勝に進む。
勝ち上がりで準決勝と決勝へと進んでいく。
準々決勝の対戦は予選1位と8位、2位と7位、3位と6位、4位と5位だ。