良いきざしが見えてきた
2018年11月2日(土)
第19回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会
先月後半に長野白馬で行なわれた全日本選手権は、
前夜からの降雨と早朝7時スタートという
稀にみる試合となり、
選手たちはその調整に苦心していた。
そこから一転、夏の改修工事を終えて、
お披露目になった大倉山シャンツェでのラージヒル。
それもランディングバーンに薄く土が盛られて、
着地しやすい印象になったようにみえる台である。
心機一転、慣れ親しんだ札幌での試合は、
選手たちの心を躍らせた。
ところが、あでやかに飛び出した茂野美咲は、
心なしか満足そうではなかった。
「なんでしょうね、
ジャンプをうまくまとめられることができなくて
悔しい思いをしています。
白馬の全日本選手権で、しっかりとできたこと、
仕上げてきたことが札幌でうまくできないのはなぜ?
と、少しばかりイライラしています」
白馬においてできていたシルエットが、
札幌に帰ってきてジャンプしてみたところ、
できなくなっていた。これも不思議なことだが、
それがジャンプ競技の難しい面だ。
それこそメンタルやテクニックを言及しすぎるのはよろしくないが、できないものはできない。
夏から積み上げてきたものに戻してみる。
シンプルだが、それがすんなりと可能になってくるのが
トップ選手の証明である。
「いえいえ、これから続く土日の2試合、
思い切り飛びますから見ていてください!」
気を新たに明るく、おおらかに、
のびやかにジャンプすることに思いを馳せた茂野だった。
そして、ここにきて調子が悪いわけではなく、
一種独特な堂々めぐりのような状況に陥り、
確かな道を探る小林諭果である。
「まだ迷いがあるんです。
飛距離を伸ばしていくために、いろいろなことを
やろうとしても身体が動ききれずにいます。
たとえば、サッツで上半身を使って立っていくのですが、
そのタイミングが遅れてしまってという繰り返しのような。
もともと大好きなラージヒルなので、
あとはきっかけさえつかめれば、なんです」
いまひとつジャンプの踏切りでタイミングが合わず、
では、どうすれば、それを解消できるのか
一連のジャンプ動作において、
あれこれと試している研究熱心な小林。
そうとはいえ岩手小林一家のポテンシャルは高い。
五輪代表の兄・潤志朗と弟・陵侑、
そして盛岡中央高2年の龍尚に控室で励まされながら、
一筋の希望を持って、心を込めてジャンプトレーニングにあたっていた。
(文・写真/岩瀬孝文)
●札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会
1.高梨沙羅(クラレ)
2.伊藤有希(土屋ホーム)
3.丸山 希(明大)
8.茂野美咲(CHINTAI)
13.小林諭果(CHINTAI)
▽結果報告記事
札幌市長杯/UHB杯/NHK杯大倉山結果報告(2018年11月2日~4日)
▽公式リザルト
第19回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会 ラージヒル競技